「いのうえ」とのしびれる出会い、そして別れ。

tori-bird

2009年08月04日 00:48

こんにちは。鳥です。

ちょっと込み入った経緯を語るのは苦手な私ですので、面倒なら今回ばかりはずばーと流し読みしてくださって結構です。「いつも流し読みなんだけど?ばかじゃねwww」だって?なめんなてめえこのやろう。

私とガブリエルとの仁義なき抗争の発端をつくったことでも知られる会社の同僚と、前々から山行きの約束をしていて、ようやく都合ついたのが先週の土日。そこそこ山歩きも楽しめて、テン場の山気分も味わえる北八つ・黒百合平にしようと決めたのが、出発の三日前。その晩、沢登りの道具選びでいのうえさんと会っていたので、「急に誘っても予定空いてるかわかんないしなぁ・・・」と思いながら「いのうえさんもどうです?」と打診してみると、「ぜんぜん空いてるダス!むしろひまですタイ!」。

ちょうどそのころ日本海上を発達した低気圧が南下し、週末にかけて全国的に雨雲が広がることを、予報士はいつになく断固とした口調で伝えていた。それも、ただの雨ではなく、「雷雨」なのだ。いのうえさんを誘ったこと、参加を承諾したこと、同時に日本海上の低気圧が突如として発達したこと。この一連の流れに何らかの因果関係を認めるためには科学的資料が乏しすぎるので、これより先に検証を進めることはできない。また、その「雨男」のメカニズムを解明することが今回の記事の目的ではないし、工場長の血圧が上がり続けた原因をここに求めるのも本望ではない。

しかし、唯一たしかに言えることは、

「いのうえさんを誘ったら、週末の天気が雷雨になった」

それ以上でも、それ以下でもないのである。
となると、雷鳴轟くなか森林限界を超えていくのは無謀であろう。急遽予定は変更となり、目的地は以前にも訪れた「四尾連湖」に決定。くぼ地になったここなら雷雨だろうと安心だし、日曜の天候が持ち直すなら蛭ヶ岳に登ることだってできる。いのうえさんのミスを的確にフォローするのはいつものことながら、今回の鮮やかな方針変更にはわれながらホレボレとした。

ただ、出発前後のゴタゴタで、行くのかどうかがあいまいに。当日、「やっぱり行かない」なんて言ったら、われわれはともかくいのうえさんには迷惑きわまりないので、ここはひとつ「なしかもしれないので、いったん、なしで!」と連絡。まぁ結果として強行したわけだが、行くか行かないかややこしい展開になるのをいのうえさんは好まない。そのへんの空気を察してか、届いた返事にはこうあった。「んでは週末はナンパでもしまくろうかな。朝昼晩で3人入れ替わり入れまくりで。イヤン」。



土曜朝、予定から遅れること1時間、11時に出発。



到着。

天候不良のせいか、中央道はがら空き。高井戸から甲府南ICまで2時間かかりませんでした。これもすべていのうえさんのおかげです。

▼サイトを横から。



手前が私のクラウドバースト。奥が職場の同僚夫妻。新婚ほやほやなので、MSR トレッカーウィング+ハバハバというスケベ仕様となっております。

ちなみにここのキャンプ場、入場料が400円。テント1張り1000円の、タープ1張り500円。サイトは大きく二つに分けれ、駐車場すぐの車が横付けできるサイトと、荷物を500mほど歩いて運ばなければならない対岸のサイト。今回は後者にしてみました。

テントを設営してしまえばすることもないのでさっそくごはん。

▼途中の道の駅で購入した有精卵をどーん!まぜまぜ~。



バタバタしたあとささっとカンタンなものつくるには、ミニトランギアが気軽で便利だと再確認しました。それと、今回この器が大活躍。Sea To SummitのXボウルとXマグ。

▼デュラライト グルメクックセットとの相性もばっちり。



食後のチャイなんか飲み、お腹もほどほど満たされていい気分。んじゃあ、ぼちぼち鶏でも焼くかい。例のあいつで。

▼やっちゃいました。ネイチャーストーブL!



▼網はこれ。ハンズで136円。



▼どうもすみません。勢い余ってつい御鶏様なんか。



▼挙句の果てにはめでたい焼きまで。いくら請求されるんだろ。



いやぁ。やっぱいいですな。ネイチャーストーブ。同僚はSを持ってきたんですが、けっきょく炭をつくるのもめんどくさくなって放置。焚き火台っつーのはそれなりのサイズがないと使い物にならないということが歴然と判明した瞬間でした。



雨もやみ、焚き火を囲みながらなごやかに談笑。私は炭をつつき、同僚は葉巻を吸い、奥さんはにこやかに微笑み・・・これで対岸の花火でバカ騒ぎするやつらがいなければ最高だったんですが。まぁ大人な私たちですから、小うるさいハエやなんかと同じで、夏の風物詩と受け流しておきました。

しばらくすると彼らも寝静まったのか、ときおり炭が「パチッ」と爆ぜる音以外は聞こえなくなり、あたりは湖畔特有のシーンとした静寂に包まれました。風もなく、湖面は鏡のように対岸の灯りをほんのりと灯影させ、美しい時間が流れていきます。

と、その瞬間。ヘッドライトを照らした膝元に、何かが見えたのです。

なんだおまえ。



私の膝に、なんとセミの幼虫が!誰かが置いたわけでもなく、彼は必死に登ってきたに違いありません。いくら癒し系のゆるキャラっぽい私でも、孵化に適した落ち着ける場所と認定されるのは困ります。同僚がそっと手に取り、遠く林の中へ放ちました。

夜も吹け、それぞれのテントへ。0時過ぎ、就寝。



朝、9時すぎ。目覚めるとかなりのどしゃ降り。クラウドバーストに容赦なく雨が降り注ぎます。サイドメッシュがびしゃびしゃになり、浸水寸前。昨夜のうちにサイドのガイラインを引いておかなければ、間違いなくやられていたことでしょう。

それよりひどかったのが、天井の幕体。木の下に張っていたため、大粒の雨がボタッボタッと落ちるたびに、室内に結露した水滴がミストシャワーのように降り注ぎます。

▼ネオエアを動かしたところ。画面上がミストシャワーの降り注いだあと。



これはクラウドバーストというよりシングルウォールの宿命か。これだけ室内が広く通気性がよくても結露しちゃったらもうしょうがないのかもしれないなぁ。そんな風に頭を抱えていたときでした。リアのメッシュになんかついてる。

▼ん?なんだこれ。



またおまえか。



どうせ同僚のいたずらだろうと聞いてみたけど、「もうなにこれープンスカ」と見せてみたら、「なんだこれ!うわぁ!!」と私よりおどろいていました。どうやら本気でいたずらではない模様。こんなことって、あるんですねぇ。



雨がやむ気配もないので、朝食を。

▼ミストシャワーに打たれながら、前室で調理。



前室を閉じきったままバーナーを使っても問題はなさそうだが、やや上側が狭く迫っている感じがするので少し不安。火柱現象を起こしてしまうと燃え移りそう。まぁ、これはべつにクラウドバーストに限った問題じゃない気もするけど。

▼オクラとアスパラの入ったヘルシーなメタボ丼完成。



▼旬の桃が入った杏仁豆腐です。





小雨になったりどしゃ降りになったり、いっこうにやむ気配のない雨空。仕方ないのでテントの中で本を読みながら昼寝。二時間ぐらい眠ってたでしょうか。起きたらもう12時ぐらい。

そろそろ撤収しようかな、でも雨の中はやだし、セミの幼虫もくっついたままだし。そもそもなんなんだあいつは。この大自然の中、よりにもよって人工物を孵化の場所に選ぶなんて。勝手にどっか行ってくれるといいんだけどなぁ。ぼちぼちテントたたまなきゃいけないし。と思って確かめてみると。

孵化っとるがな。



まぢっす。

セミよ、テントが大好きなアブラゼミよ。おまえに名前をつけてやろう。「いのうえ」だ。変態テントが大好きな、おまえにぴったりの名前だろう?返事のつもりか、「いのうえ」はこのあと「ミッ」という声を残し、たぶん道志のほうに飛び去っていきました。

▼「いのうえ」の抜け殻。





雨がやんだ隙をついて急いで撤収。荷物がけっこうあったので、帰りはボートを利用しました。1時間1000円。一日貸切だと5000円だそうです。

▼荷物を積載し、探検気分。



▼荷物が重くて出航できません。人間のせいではないです。



▼こぎまくれ~。





帰りは「みたまの湯」に立ち寄り。割引券を水明荘で購入していたので、750円が700円に。いやぁ、いいお湯でした。思ったより混んでなかったし。天気がよければ南アルプス・八ヶ岳・金峰山・大菩薩が一望できるのだとか。

こんなわけで、またしても四尾連湖はヌルヌルキャンプになってしまいました。もちろん蛭ヶ岳には登っていません。まぁいっか。NULだし。そういえばいのうえさんは、先週末なにしてたんでしょうか。
関連記事