身も心も新たに10万PV突破のお礼を。
こんにちは。鳥です。
今の住まいに引っ越して3回目の春を迎える。もうすぐ目黒川にも桜が咲いて、多くの花見客がごった返すのだろう。先週末に見たときは、花びら一つ見つけるのも苦労したが、こうもあたたかいといつの間にか満開を迎え、気付かぬうちに咲き始めの一番うつくしい瞬間を見逃してしまうかもしれないと、少し心配になってきた。
が、それは本題とはあまり関係ない。私はここに住み着いて3回目の春を迎えるのに、どこか落ち着かない気がしていたのだ。
気のせいと言ってしまえばそれまでだが、問題はまさに気のせいなのだから、それでは取り止めがなくなるというものだろう。「おなかに虫でもわいてんじゃないの?」とでも言われそうだが、落ちたものを拾って食べるまでハングリーではないので心配には及ばないでほしい。
ここに住んでいるのに、住んでいないかのような。
しいて言えば、そんな
フワっとした感じなのだ。
もちろん、気に入って住み着いた土地だし、愛着はある。方向音痴の私でも、土地勘はついてどこに抜けるにもだいたいの察しはついてきた。何件か行き着けのカフェもできて、午後のテーブルをまるまるいっぱい占拠しても、迷惑とは思いながら気兼ねする必要も薄れてきている。交通のアクセスもいい。バンブーシュートもあるし、買い物にも不自由しない。何より、桜がきれいだ。
なのに、である。
ここで「日本人と土着信仰」を持ち出すのは、あまりに大げさというものだろう。が、たとえばかつては死者を埋葬することで、「土地に根付いた」と感じる考え方が存在したと、吉村昭の「羆」にあった。自然とを隔てる境界線がそこにあると考えるのは、なるほど、しっくりとくる説得力がある。
桜の下には死体が埋まっている。
かつてそんな題材の小説を読んだことがあった。曰く、「科学的に見れば、土の成分だけで、あれほどまでに大きく成長できるはずがない」。桜の木の下で半生の幕を閉じようと割腹する武士の姿は容易に想像できる。桜のうつくしさは狂気を招くが、それも然りというわけか。
話がどんどん脱線する前に本題に戻そう。私の悩みに終止符が打たれたのだ。というか、解決して初めてそこに問題があったと気付いた、と言ったほうが正しい。
私はどうも美容室というものが苦手で、歯医者の次に「できれば行きたくない場所」だ。「そろそろ切らなきゃ」と思ってから、実際に予約の電話を入れるまでに、だいたい一ヶ月はかかる。さすがに予約を入れたらドタキャンせずに観念するが、「あぁ、行かなきゃ・・・」と悶々とした一日を過ごす羽目になる。それでも行き着けの美容室がなかったわけじゃないが、担当の美容師さんが引っ越してしまったために、しばらくわざわざ大阪まで通っていたこともあるほどだ。
なぜ苦手なのかは「美容室が苦手じゃない人」には一生わかり得ないものだろう。痛い思いをするわけでなし、むしろ行ってしまえばさっぱりと気持ちよくなれるのはわかっている。しかし、なんというか、あの気まずい会話と空気と視線に耐えられないのだ。
「今日どうしますか?」
「ええ、えーと、(雑誌をぱらぱらめくり)こ、こんな感じで・・・」
内心、こんなモデルさんみたいの指定しちゃって、「なに勘違いしてんのこいつプププ」って嘲られていやしないか、心配になる。しかもどうしておれはこの履き古したグラミチのパンツを履いてきてしまったのだろう。シャツとの組み合わせにしても、「ありえねーコイツwwww」とかいう目で見られてそうだ。挙句の果てには「ぐはwこいつものすげえクセっ毛だしwww」。リセットボタンがあるのなら、軽く死んでみたくなるのである。
文字にするとまるで神経衰弱者のようであるが、誤解を恐れずあえて美容室での心境を吐露してみたら、おおむねこんな感じだ。髪が伸びるという仕様に決めた神の悪戯を呪いたい。
しかし、この問題にもついに終止符が打つときが訪れたのだ。「おっ、悩みすぎて、ついにハゲちゃった?www」とかいう期待には沿えられず、申し訳ないが。
美容室「GRAVURE」
先日の目白の帰りに
ランブラーさんに紹介してもらったこちら。とってもいい感じでございました。「ハイクやギアのことが話せるめずらしい美容室ですよ」という触れ込み通り、オーナーさんは私と同じく昨日・今日始めたばかりのハイカーさん。だいぶランブラーさんに感化されかけていたようで、同じように
roadmanさんに洗脳されかけていた私とも話がよく合う。
「山を走るなんて尋常の沙汰じゃないですよねぇー」
「そうなんですよ、彼らおかしいですよねぇー」
トレイルランナー被害者の会を結成しそうな勢いとは言いすぎながら、すっかり意気投合してしまったつもりでいます。
kimatsuさんや
いのうえさんあたりから、伸びすぎた髪を揶揄されぐっと涙をこらえる日々とももうおさらばです。会社の人にも「さっぱりしていい感じですよ」と言われてしまいました。うぇへへ。
美容室が決まると、生活が落ち着くような気がすると知った、この週末。実を言うとここのところ浮かない気分で日々を過ごしていましたが、こんなささいなことで晴れやかな気持ちになってしまった私です。
身も心も新たになったところで、10万PV突破のお礼を述べさせていただこうかと思います。
どうもありがとうございました。
これからもどうぞよろしくです。
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