我々はいかにして式根島行きを断念したか。

こんにちは。鳥です。

いい加減にアップしないと怒られちゃうですﾀｲ！

さかのぼること3週間ほど前。バードメンさんの神津島行きの記事に触発されたのか、はたまた私のこの記事に刺激されたのか、あるいは「島に行けばスケベな水着のねーちゃんとﾑﾌﾌ」との妄想がそうさせたのか、私に知る術はありませんが、「式根島行くんだけど」とお誘いを受けたのです。「本籍地：道志の森」こといのうえさんからだ。

「いくいくーいくだプー」

との丁重な返事をしたため、もどかしく当日を待っていたのですが、どうも天候が思わしくなさげ。奥多摩で一度も雨に降られたことのない私なのに、これはおかしいです。なにせ島。船が接岸できなければ上陸できないし、仮に上陸できたとしても復路も就航されるとは限りません。現に私が3年前に式根島へ行ったときも、そうでした。

◆

そのとき私は、翌日に大事な仕事を控え、どうしても帰らなければならなかった。同じくそれぞれ事情を抱えて乗船を待つ、不安な顔をした乗船客が数十名いた。しかし船は、接岸するため岸壁に寄せようと試みるものの、波が高くて船体の均衡が取れない。係員が投げたロープは吹きすさぶ風に流された。「ギギギィーギュッギュ」舷とタイヤウォールとが擦れる鈍い音だ。

「あのタラップさえ掛ければ乗れる」

だれもが固唾を飲んで作業員の一挙手一投足を見守っていたが、掛けられたタラップは生き物のように暴れ、軽業師でもなければ乗れそうにない。「しばらく待てば、落ち着くタイミングが来るだろうから」という願いもむなしく、ダメとわかれば船は躊躇なく「ブウォー」という汽笛を残し、去ってしまった。私と、数十人の不安な顔をした乗船客は、岸に残されたままだ。

ところが、助け舟とはこのことか。直後に港の漁船団が駆けつけてくれ、「乗れ乗れ」と言う。下田まで乗せていってくれるというのだ。


急ぎ足で漁船に乗る人々。


黒煙を吐きながら荒波をかき分け、進む漁船。

だが、無償で救援してくれるほど世の中甘くない。漁師にとってはいい現金収入なのだろう、乗船料として5千円を支払った。まぁ漁船に乗れることもそうそうないし、ひさしぶりに「海の男」としての血が騒ぐ経験もできたのだからよしとしよう。ひさしぶりにと言ったが、かつて大海で大暴れしたエピソードを語るでもなく、単に私の父方のルーツを何世代かたどると漁師に行き着くらしい・・・という薄い根拠を盾に恥ずかしげもなく「海の男」を自称しているだけだ。

ともかく、今回も運良く漁船で帰れるとは限らない。土日の休みしかないので、日曜の便が欠航されたら会社員としてうんたらかんたら怒られてしまうのだ。へたをすれば、このGWの有給休暇取得にも影響が出る。それだけは避けたい。避けたいがゆえに、当初は乗り気だった式根島行きも、「日程を変えたほうがいいんじゃないか・・・」という疑念が次第に芽生えてきた。

こんな理由もある。正直に言おう。ヘタレな私は雨の中のキャンプは嫌だったのだ。しかし、今回集うのはあの「365日キャンプOK」と自認するとかしないとか言われる放置民。少々の雨でへこたれるようだと、「あのチキン野郎がよぅ」と罵られ、「鳥だけにな！ぐふふ」と御鶏様の肴に嘲笑われるのは間違いない。

中止要請しようか、するまいか。

――4/22（水）8:17am【tori→いのうえ】
だれが雨男なのか戦犯探しは後にしますが、土日ずっと雨っぽいですよ。雨天順延なんて難しい四文字熟語はないんでしたっけ、放置民の辞書には。

――4/22（水）12:29pm【いのうえ→tori】
あっ！雨男からのメールに今気づきました。他のメンツからは延期要請なんて届いてないですが、ちょいと確認してみまつ。それはそうと鳥類にも雨男って存在するとは新たな発見でし・・・あいや、戦犯探しはやめときましょう。もしかしたらカピバラの嫌がらせの可能性もありますしね。

――4/22（水）17:51pm【いのうえ→tori】
とりあえず決行ですﾀｲ！日曜は「くもり」になったし、土曜も「時々雨」やし。で問題無し？キャンセルする？

――4/23（木）8:52am【tori→いのうえ】
いきますﾀｲ！

しかしながら、ここから事態は文字通り風雲急を告げるのである。まるで私が参加表明を宣言したことが皮切りとなったかのように。

――4/23（木）23:23pm【tori→いのうえ】
私が行くと返事したら、明日の天気が暴風雨に変わりましたよ。

そう、ついさっきまでの穏やかな雨が一転。「暴風雨」との表現に変更されたのだ。暴風雨・・・暴力的な風と雨のことだ。ここまで単刀直入でストレートな天気予報を、私はかつて見たことがない。

――4/24（金）16:49pm【いのうえ→all】
つーか、この状況でもﾐﾅｻﾝ行く気ﾏｿﾏｿ？

そして苦悩の末に、送った返事がこれである。

――4/24（金）17:36pm【tori→いのうえ】
大きな声では言えないんですが、月曜休み取れてない私はちょっと折れかかってたりするのを否定できません。ぬるくてすみません。

――4/24（金）17:40pm【いのうえ→tori】
こっちのことは気にせんでいいから、鳥さんはキャンセルする？

これを優しさと言おうか、気遣いと言おうか。思わずキャンセルさせていただくことにしてしまった。根っからの性善説に立つ私は、まさかいのうえさんが「自分からキャンセル言い出すのは嫌だし、あのチキン野郎の口から言わせてやれｹｹｹ」という策略を弄したとは思わないのである。

いずれにしろ、このようにして式根島行きは断念された。

つづく。

次回、
「折れたポールに、折れかけたハート」
乞うご期待！

いや、もうバードメンさんがだいたいアップしてるんですけどね。豪脚とらじさんはまだですか。